現代文の勉強法・テスト対策問題集
大学入試では、“国語を制する者は入試を制す”と言われています。
特に文系の生徒にとっては国語の出来が合格不合格を大きく左右すると言っても過言ではないほど、国語は重要科目です。
東大や京大、名古屋大学(医学部医学科・理学部)などの高偏差値の難関国立大学においては、理系学部であっても2次で国語の試験を課しています。
大学・学部・コースによって、古文・漢文は出題範囲に含まないよというところもありますが、現代文は必ず出題範囲に含まれているので、国語の中でも現代文が1番重要だと言えます。
ただ、現代文の対策をしっかりやってくれる塾や講座はあまり多くないですし、現代文の勉強のやり方が分からないという高校生も多いと思います。
他の教科も学習内容がどんどん難しくなる中で、現代文ばかりに時間を掛けているわけにもいかないので、少しでも短時間で現代文の学力を身に付けたいところです。
①センター試験の現代文の傾向・対策。時間切れで焦らない立ち回りを!
センター試験の国語は現代文(評論文・小説)+古典(古文・漢文)で構成されています。 配点は評論文50点、小説50点、古文50点、漢文50点です。
マークセンス式なので、ほとんどの問題が5択の選択問題となっています。(4択や6択も多少含まれます。)
例年のセンター試験の現代文の傾向を見ると、 評論文において、漢字問題が5問出ています。 小説において、慣用句問題が3問出ています。 残りの問題は本文の内容理解を問う読解問題がほとんどです。
センター試験の問題レベルは2次試験よりはまだ簡単だと言えますが、試験時間80分に対するボリュームは多めなので、スムーズに立ち回ることができるかどうかが重要です。 先に古文・漢文から解くパターンがおすすめです。
なぜなら、現代文の方が文章は長く、紛らわしい選択肢も多いので、完璧に解き切るには時間が掛かります。
まだこの後に古文・漢文が残っているという状態だと、残りどれだけの時間を現代文に使えるかが推測しにくいので焦ってしまいます。
先に古文・漢文を終わらせておいた方が、残り時間をフルに使って焦らず現代文に挑むことが可能です。評論文と小説の順序に関しては、自分の得意な方を先に解くと良いでしょう。
②二次試験の現代文の傾向・対策。4つのポイントを意識して書こう!
国立大学2次試験の国語の現代文では、「~を説明せよ」といった形式の記述問題・論述問題がたくさん出題されます。 (一部の私立大学においても記述式を採用している大学がありますが、国立大2次ほど記述・論述問題だらけだという私大はほとんどありません。)
記述問題・論述問題を攻略するには、“書くこと”に対するある程度の慣れが必要です。 作文が大好き、小論文が大好きという人であればアッサリ攻略してしまうのかもしれませんが、そうでない人は以下のポイントに注意しながら文章を書いてみると良いでしょう。 『①質問に対する的確な答えを、②決められた字数で(字数制限がない場合もあります)、③採点者が読みやすい、④論理的に筋の通った文章でまとめる』
問題集や過去問を演習する際に、上記の4点に気を付けながら論述する練習を積みましょう。 書いたら終わりではなく、必ず解答解説に載っている答えと見比べてみることが大切です。 自分の書いた文章を親や兄弟、友達にチェックしてもらうのも手です。
この記述・論述力を付けることができれば、国語だけでなく、理科社会の論述問題、英語の要約問題、数学の証明問題など、他の様々な教科にも役立つ力となるでしょう。
また、2021年1月から始まる「大学入学共通テスト」の国語では、試験時間が100分に延び、記述式の大問が1問(小問3問)追加されます。
センター試験の時のようにマーク式ばかりではなくなるので、今後はより記述・論述力の求められる時代となります。
③評論文の解き方のヒント
現行のセンター試験の現代文においては、評論文1題、小説1題が出題されます。 国立大学2次試験、私立大学の個別学力検査の現代文においては様々な組み合わせパターンがありますが、多いのは評論文1~2題パターンでしょうか。 よって評論文は現代文の中で最も入試に出題されるジャンルなので、評論文攻略は高偏差値の難関大学合格に必要不可欠だと言えるでしょう。
評論文を解く際には、筆者の主張したいこと、問題作成者が受験者に答えさせたいポイントは一体どこなのかを考えながら文章を読んでいくことが大切です。 そのポイントを見つけるためにはやはり評論という文章に対するある程度の慣れが必要なので、夏休み中は2日に1回のペースで初見の評論文を読み解く習慣を付けると良いでしょう。 だんだんと筆者の気持ちが理解できるようになってくるはずです。 一度自分で何かテーマを決めて評論文を書いてみるというのも、筆者の気持ちを理解するコツです。
また、国語でも英語でも長文というものは、最初から最後までゆっくりじっくり読んでいると時間が足りなくなってしまいます。
大事な部分はじっくり読み、設問に関係ないような部分はスピーディーに読むという読み方を身に付けることができれば毎回安定して高い点数を取りやすいので、日頃からそういった読み方を意識してみましょう。
さらに、世の中の様々なコト・モノに対する知識が豊富な人ほど評論文は有利です。
例えば、環境問題に関して書かれた評論文が出題されたとしましょう。
環境問題について詳しい人と、環境問題についての事前知識が0な人、どちらの人が高得点を取れる可能性が高いかは一目瞭然ですよね。
よって、評論文で高得点を取る為の1つの方法としては、日頃からニュースや新聞、雑誌などを読んで知識を増やしておくという手段も有効です。
④小説の解き方のヒント
センター試験においては、評論文1題、小説1題が出題されます。 国立大学2次試験、私立大学の個別学力検査の現代文においては必出の評論と比べて、小説は出る大学が限られます。 ただ、東京大学、京都大学、大阪大学など小説を出題する大学も一定数はあります。
小説を解く際には、登場人物や場所、話の展開のイメージを即座に想像し、感情移入できると良いでしょう。 やはり日頃から小説系の本を読む習慣が付いている人の方が、上記のようなイメージ、感情移入がしやすいと思われます。 「いつ、どこで、だれが、なにを」している話なのかを素早く把握するように心掛けましょう。
主人公になりきる視点と、物語全体を客観的に見渡す視点の両方を身に付けることができれば、小説で毎回安定した高得点を取れるようになるでしょう。 たくさんの登場人物が出てくるときがあるので、誰が誰なのか混乱しないように、問題冊子の余白に登場人物のキャラクター性についてメモをしていくと整理しやすいです。
評論文と同じく、小説を読む際にも速読を身に付けたいです。
大事な部分はじっくり読み、設問に関係ないような部分はスピーディーに読むという読み方を身に付けることができれば毎回安定して高い点数を取りやすいので、日頃からそういった読み方を意識してみましょう。
⑤共通テストでは詩やエッセイなどが出る!?
センター試験の国語における現代文は、評論文1題、小説1題という傾向です。 しかし、2021年1月から実施される「大学入学共通テスト」のプレテストでは小説が出題されず、その代わりに詩とエッセイが出題されました。
プレテストの段階なので本番ではどうなるかまだ分かりませんが、おそらく大学入学共通テストでは従来の小説枠が廃止され、小説・詩・エッセイ・俳句・短歌などからの組み合わせで出題されるのではないだろうかと予想されています。
共通テストに関する詳細情報は随時チェックするようにしましょう。
⑥高得点を取るための読解のやり方。設問を先に見るべき?題材本文から先に読むべき?
現代文における設問の中心となるのは、やはり内容読解問題です。
高得点を狙うには、長い文章の内容をテンポ良く正確に読み取らないといけません。
現代文の読解のやり方としては、以下の3パターンのうちいずれかの手段を取っている人がほとんどではないでしょうか。
①長文を最初から最後までとりあえず全部読み切り、その後に設問を1つずつ解いていく
②長文を読んでいき傍線部に到達したら、その時点でその傍線部に対応する設問を解きに掛かる
③先に設問をチェックしておき、その後に長文を読んでいく。傍線部に到達したら設問を解く。
この中で高得点が最も取りづらいのは①のパターンです。
長い文章を最後まで読み切った後に起こりうる現象はおそらく「あれ、前半の内容ってどんなのだっけ。忘れてしまった。」というものです。
もう一度しっかり文章を読み直していてはかなりの時間ロスが生じますし、かといって読み直さなければ設問を解くことができないのでもう一度読まざるを得ません。
非効率的な読解方法だといえるパターン①ですが、案外この①の方法で現代文を解いている人も多いのです。
よほど記憶力に自信がある人や、ずっとこの方法でやってきて高得点が取れている人でない限りは①のパターンはおすすめできません。
高得点を取るためにおすすめしたいのはパターン③です。
ただパターン②もダメだとは言えません。
以下にこの2つのパターンの違いを書いておきますので、より自分にフィットしそうな方を選んでいただけたらと思います。
②と③の違いというのは、先に設問をチェックしておくかどうかです。
本文を読む前に設問全体を確認することにより、どのような問題が出されているのかを把握しておくことができます。
どういう質問をされるのかが事前に分かっていれば、それに対応する本文の箇所を注視する読み方が可能となります。
また例えば、「設問の選択肢に医療系のキーワードがたくさん出てきているから医療がテーマの文章なのかな」などと予め本文内容を予想することも可能です。
長い文章をこれから読むに当たって、なんとなくどんなテーマなのか予め情報をつかめていた方がきっと読みやすいでしょう。
設問を最初に見るのは時間の無駄だと考える人も中にはいると思うので、絶対にパターン③じゃないとダメだとは言い切れませんが、サッとでも良いので先に設問に目を通しておいた方が得られるメリットは大きいのではないでしょうか。
⑥選択問題、抜き出し問題のコツとは?
現代文のマーク式試験の場合、「最も適当なものを①〜⑤のうちから一つ選べ。」「適当でないものを①〜④のうちから一つ選べ。」というような四択や五択の選択肢問題が多いです。 四択問題のコツは、消去法で「これは違う!明らかにおかしい!」という選択肢をどんどん消していくことです。
「必ず〜」「〜に決まっている」などオーバートーク気味な選択肢は、不正解である可能性が高いから消してしまおうというのが消去法でよく使われる手です。
消去法により正解の選択肢1つに絞り切れたらラッキーですが、実際はそこまで甘くありません。 おそらく残り2つの選択肢で迷うことになるでしょう。
2つまで絞り切れたのであれば、もう後は50%で正解なわけなので順調だと思ってください。 ここからは傍線部前後の文章を詳細まで丁寧に読み、残り2つの選択肢のうちどちらが論理的に正しいか、どちらが論理的に間違っているのかを考察しましょう。考えても1つに絞り切れない場合は諦めも肝心です。
1つの設問に時間を掛けすぎるわけにはいかないので、直感で正解だと思う方を決めて次の設問に移りましょう。
現代文の記述式試験の場合、「○○(傍線部)とはどういうことか、説明せよ。」「本文に即して百字以内で述べよ。」というような記述・論述問題がほとんどですが、「十五字以内で抜き出せ。」というような抜き出し問題を出す大学もちらほらあります。
抜き出し問題ですが、抜き出し問題こそ先に設問をチェックしておくべきです。
なにを抜き出すべきかの情報を先に把握しておいた方がきっと短時間で正解部分を見つけられるはずです。
⑦語彙・文法・文学作品の対策は余裕があればで大丈夫。ただし漢字はコツコツ対策しておきましょう。
もし時間的に余裕があれば、文学作品の作品名・作者名を覚えたり、語彙・文法の対策をしたり…といったことをやっておくと役立つ場面が来るとは思います。
実際に慣用句の問題はセンター試験で毎年3問出ていますし、文学知識を問う問題を1~2問出題している大学も多いです。
ただやはり現代文の試験におけるメイン問題というのは内容読解なので、配点割合を考えたときに知識問題対策に時間を掛けるのはあまり得策ではないようにも思えます。
文法も古文・漢文では出ますが、現代文では直接的な文法問題はあまり出ません。 あくまでも文学作品等の取扱いに関しては、教科書・問題集・過去問をやっていて出てきたものをノートにメモしておき、そのノートを時々見直すというくらいの勉強方法で大丈夫でしょう。
ただし漢字問題に関しては、頻出度・配点割合を考えたときに決して蔑ろにはできないので、頻出漢字に対する読み書きの勉強はある程度やっておきたいです。
⑧現代文の入試問題に最適な問題集・参考書とは?あくまでも教科書が1番大事
現代文の入試問題を解く力を付けるにあたって最適なものは教科書です。 ほとんどの大学の入試問題に共通して言えることが、教科書の内容を参考に問題が作られており、教科書の内容を徹底的に理解することが合格点到達への一番の近道だということです。 もちろん現代文の場合は、初見の文章への対応力が求められますが、教科書で基礎の土台を作れていれば、入試本番で初見の問題にも対応できる力が付きます。
そして、自分の受ける大学の過去問もとても重要です。 大学によって、校風も異なれば、どのような学生に入学してほしいかも異なり、それらの特徴が顕著に表れているのが入試問題です。 ゆえに、その大学の過去問にみっちり取り組んでいくことこそ、ベストな志望校対策となります。
ただ教科書というものは硬い文章で書かれているので、参考書の方が読みやすくて分かりやすいと感じる人もいるでしょう。 教科書を読むのが苦手だという人は、噛み砕いた文章で説明をしてくれている参考書を1冊手元に置いておいた方が良いかもしれません。
ただし市販の参考書・問題集の中には、教科書にあまりリンクしておらずに出版されているものや、覚える必要のない無駄な知識まで載っているものもあります。 そのような参考書・問題集を選んでしまうと非効率的な勉強をせざるを得ません。
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